インドのLGBTについて考えてみた

ヒジュラ

女装した男性?! 「ヒジュラ」とは?

インドを旅していると、街中や列車の中で「女装した男性のようなインド人」を見かけることがあるかもしれません。
彼(彼女)らはヒンディー語で「ヒジュラ」と呼ばれる、男性でも女性でもない「第3の性」を生きている人たちです。

もともとは結婚式や赤ちゃんの誕生したお家で祝福の儀式をすることを生業にしていますが、伝統的な慣習がなくなりつつある都会では、街中や列車の中で物乞い生活をせざるをえない人も増えているんだとか。

ちなみに、デリーメトロには女性専用車両があるのですが、ヒジュラはこの車両に乗ることができます。

delhi metro
(男性が乗ると周りのおばちゃん達から総攻撃されますので、男性の皆様はご注意を。)

多様性の国インドのLGBT事情

インドと聞くと、多宗教・多民族・多言語で、とにかく寛容な国というイメージが強いかもしれません。ヒジュラもいるし、LGBTにも寛容な国なのかな…と思いきや。

インドには「同性愛間での性行為は懲役10年(インド刑法第377条)」という法律があるんですねー。こういうの意外と知られてないと思うので、周りの人たちにちょいと小ネタ自慢してやりましょう。
これはイギリス統治下で作られた古い法律なので、独立後に制定されたインドの憲法違反の法律ではないかと言われていたのですが、2013年に最高裁で「この法律は合憲」という判決が下されてしまいました。

それに、ヒジュラが存在していることと、彼らを含むLGBTの人々が差別を受けずに生活できているか否かは別問題ですよね。上記の判決とは打って変わって、最高裁は2014年に、ヒジュラの人々を正式に「第3の性」として認定し、彼らが雇用や教育で差別を受けないよう社会制度を整えることについて勧告しました。
逆に言えば、これまでヒジュラの人々をはじめとするセクシュアル・マイノリティーの人々は、社会的に大きな差別を受けていた(そして現在も受けている)ということですね。
これは一例ですが、実際、タイのバンコクでは街中の色んな店で普通に働いているレディ・ボーイたちを見かけましたが、インドではヒジュラの人が普通にお店などで働いているところを見たことがないです。

そういうわけで、インドでは同性愛やその他の性的マイノリティーであることをカミングアウトする人自体が少ないですし、カミングアウトしたところで社会全体の理解はまだまだ不足している状態と言えるでしょう。

歌って踊って声をあげる「6 Pack Band」

そんな状況を変えるために活動している人たちも沢山います。
なかでもインドらしくて面白いなあと感じたのが、インド初のトランスジェンダーバンド、その名も「6Pack Band」!!

サリーを美しく着こなすヒジュラの皆さんが、ファレル・ウィリアムズの「ハッピー」をインド風アレンジで歌って&踊っています。これがかなりクオリティ高いし面白い!!!
さすがインド、何事も歌と踊りで乗り越えていくんですね。

このバンドは今後も定期的に曲を発表するようなので、引き続き注目していきたいと思います。

それにしてもこのメンバーたち、私なんかよりはるかに色っぽい…。精進します。