インドに行ったら死ぬ!? ~おじいのインドイメージ~

インド行ったら死ぬ!?~おじいのインドのイメージ~

インドのイメージ

インドに来る前に周りの人たちにインド行きを反対される人達も多い。

「危ないんじゃないの!?」

「テロとかもありそうだし辞めといたら。」

「一人で行くなんてとんでもない!」

などと親御さんや友達に言われるという。実際に来ている人達はその反対を、ある時はちゃんと説明し、またある時は押し切ってインド行きの飛行機に乗る。時には、直前に強い反対に合って来れなくなってしまう人もいる。

やはり、団塊の世代の人達や更に年輩の方にはやはり、

インド=危険、なのかもしれない。

ちなみに、私も実は反対された。しかも凄い反対だった。それは親でも友人でもなかった。アルバイト先のおじいさんだった。しかも北海道の牧場の。

牧場風景

北海道の牧場でのアルバイト

大学一年生の時の夏休み、私は北海道の牧場でアルバイトをしていた。朝早くから牛のご飯を配り牛舎を掃除して藁を敷き詰める。午後の休憩時間もそこそこに、夕飯まで仕事は続く。軽そうな藁も実は重い。簡単に操作できそうなでっかいフォークは思ったように動いてくれない。当初思い描いたより大変なアルバイトだった。

「朝早いが午後からは自由でハンモックでゆられながら本でも読む」

勝手にこんなイメージを持っていた。簡単な仕事などないことを知るのはもう少し後のこと。

といっても犬や子犬と戯れ子供達の夏休みの宿題手伝ったりしながら楽しい日々を過ごしていた。

お世話になった牧場は二世帯住宅で食事もお母さんとお祖母さんが作ってくれる。品数も多く美味しい限りだった。おとうさんもおじいも働き者。おじいは腰が曲がっていて細いのだが、何を何を!でかいフォークで私の2倍も3倍も藁を運ぶ。

インドの牛さん達

インド行きの話をしたら、

私がそろそろ帰るのが近くなった頃、家族の皆と一緒に地鶏を扱うお店に連れて行ってくれた。唐揚げや鳥鍋と共にお酒もガンガンに飲ませてもらった。

話題が私の学生生活になった。「学生は長い休みがあっていいなぁ」「この先の休みの予定あるのか」お父さんにこんなことを聞かれた。この次の長期休みである春休みに私は初めての海外、初めてのインド旅行を控えていた。そのことを口にした時だ。いつもは無口なおじいが急に大声で言ったのがこの言葉。

 

「インド行ったら死ぬぞぉぉぉおおお!!!」

 

いつも口数少なく背中で語る格好いいおじいさん。それがこの時ばかりは、その口調で失神しそうになりそうな勢い。声は低く地獄の底からの響きのよう。呪われてしまいそうで何だか冷や汗がどっと出た。

テンパりながらそんなに危険ではないことを訴えていたが、おじいさんは全く聞く耳を持ってくれなかった。ただ、頑張ってしゃべる私の目をじっとみつめていた。インドよりもおじいさんの方がよっぽど怖かった。

インドの子供

「インドで死ぬ」とはどんな意味だったのか

初めてのインドは私がかなり無茶をしたせいで危険なことは確かにあった。でも、命にはもちろん別状はなかった。その後幾度もインドに足を運び、今ではインド在住である。死ぬどころかインドでの方が活き活きしている、と周りには言われている。そしてインドに来ることで、より良い生を生きているように見える人にたくさん会った。

今になってあの牧場のおじいさんが何故インドに行ったら死ぬと思っていたのか、その意味や理由を聞けば良かったと思っている。病気になったり、事件に巻き込まれたりして、死ぬという意味だったのか。そうだとしたら、案外そうでもないことを実体験を元に伝えたい。

海外に行ったことがなかったおじいが、インドにどんなイメージがあるのか是非きいてみたい。

 

 

それとも。

もしかしたら、もしかしたら、

インドに行くとそれまでの自分が死んで新しく生まれ変われる、という意味だったのだろうか?それなら、そこの部分を是非詳しく教えてもらいたかった。

学生時代、引っ越した際に連絡先を紛失してしまいそれももう適わなくなってしまった。