値切り交渉はインド最大のアトラクション、、、かも

LINEで送る
Pocket

値切り交渉はインド最大のアトラクション、、かも

面倒くさい値段交渉!?

インドを旅したことがある人にとって、容易に思い出すことの1つに
「交渉がめんどくさい」
ということがあると思う。

・ちょっとタクシーやオートリクシャで移動する時に、現地価格で乗ろうとしたらかなりのエネルギーを割いて値切らないといけない。

・ちょっとしたお土産を買う時に言い値で買うと、実は現地価格の数倍。

・最初言ってた値段より何かを付け足されて、高く取られる。

こういうことはインドの、特に観光地であれば誰しも経験すること。

こんな時多くの人はこう考える。
「本当の値段より高くとって、ひどい。」
「お金のことばかり考えてがめつい人たちだ。」
「これだから、インド人は嫌いなんだ。」
と。

実際このように語る旅人やブログ、書籍でもこういった表現を目にすることが多い。お時間あればgoogleで「インド ぼったくり」などで検索してみてください。

顔見知りになれば安くなる!?

なじみの店

なじみの店ではおまけなどよくある

しかしながら、インドに長くいると、特に一か所に長く滞在すると高く取られることはあまりなくなる。それどころか、色々とただでくれる人も多くなってくる。

現地の言葉をちょっとしゃべられるからだけではないよう。言葉がしゃべられなくても、もらうばかりになる人もいるからだ。どうやら、彼らの仲間に入ったと見なされれば高く取られるどころかむしろ勝手に安くなる。お釣りはいらないとか言われたり、もらってしまうことも良くある。

これはどういうことか。この辺をとても簡単にまとめてくれているのが気鋭の社会学者、小熊英二さん。その著書「インド日記~牛とコンピューターの国から~」より抜粋してみる。ちなみにこの本は、数あるインド旅行記の中でも抜群に面白く、考えさせられることが多く本当にお勧め。ともあれこの辺り。

「インドには定価はない」と言われる。値切り交渉でまけたり、顔見知りだと安かったりする。・・・値切るという行為は、いわばその行為を通して、「顔見知り」になる手間を支払うことであるとも言える。

そう、顔見知りだと安いのである。だから一元さんは、その手間の支払い方をお金で払うか、それとも値切るという行為で払うかになってくる。

つまり、その商品やサービスの値段は買い手と売り手の関係によって変わる。その関係性を人は人情と呼ぶかもしれない。人情が通用する範囲に自分が入れば現地価格で買えるし、入れていなければ高くなってしまう。そう考えると、ただ価格を安くしようということでなく、人情の通用する範囲に入る、つまりお友達になっちゃおうっていうのが値切り交渉なのかもしれない。

では、全てが定価で買える社会とは!?

ガンガーのボート

ガンガーのボート、これも交渉が大変な一つ

だから、インドでは価格そのものより人情の方が大事な世界、といういい方もできる。

では逆に私たちの生きる全てが定価で買える世界とはどんな世界なのか。小熊先生はこう言う。

「定価で全てが買える世界」は、裏を返せば「たとえ顔見知りでもまけない世界」であり、「人情よりも金で全てが計られる世界」でもある。

つまり
インドは 人情>価格
日本(などの近代社会)は 人情<価格

という。更に小熊先生は言う。

相手が友達であろうと見知らぬ外国人が相手であろうと料金が同じということのほうが、近代社会になってから発生した異常な価値観なのだ。

とまで!

「あたり前」というのは怖いです。私たちは定価で買うことを当然と見なすあまり、そうでない社会を簡単に批判してしまいます。こうして逆から見てみるとまた別の側面が見えてきたりします。

インド人はお金に汚くない!?

オートとの戦争がはじまる駅で待機するオートリクシャー

こういった考え方を参考に、改めて私たちがすぐに言いたくなってしまう言葉を考えてみる。
「本当の値段より高く取ってひどい!」
人間関係の方が重要なので、そもそも「本当の価格」という考え方が薄いのかもしれない。

また
「お金のことばかり考えてがめつい。」
という考え方は、少なくともシステムとしては私たちの定価システムの方が人情よりお金(というか価格)を大事にしている。誰であっても、親友でも全く見知らぬ人でも料金が同じなんですよね、確かに。

実際、時に値切り交渉はえらいエネルギーを使いますし、面倒くさいのも事実です。現地の人よりずっと高く取られたのがわかったら腹が立つのもわかります。本当に悪質な業者もいて注意する必要もあります。

ただ、目に見えるわかりやすい行動だけで

「これだからインド人は!」

と個人的に悪い奴とみなしちゃうのはどうかなとは思います。システムとしてみたら私たちのシステムの方が人間味がないとも考えられるわけで。

値切り交渉は最大のアトラクション!?

お土産屋さんは特に交渉が大変

お土産屋さんは特にやりとりが面白い?

それともう一つ。インドでも定価で物が買える場所がどんどん増えてきちゃってる。そのスピードはかなり早い。もしかしたら、そのうち年配の旅人が値切り交渉をした日のことを懐かしく、ちょっとどや顔で若い旅人に語る日が来るかもしれない。

何より
「だまされた!」→「だからインド人嫌い!」
と思ってインドを旅するより
「あー、うまいことお友達(人情の範囲内)になれなかったんだなー。」
→「次はもっと工夫してお友達になろう!」

と思いながら旅するほうが面白いと思うんですよね。

色々違うところがあるから人は別の世界に憧れるのでしょうし。世界中どこでも定価で物が買えるようになった方がいいとは思えません。

タージ・マハル前のラクダ
やっぱり、値切り交渉を楽しめるようになるとやはりインドはもっと面白くなりますよ~。

 

投稿:sakamoto

コメントを追加

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です